まず、システムエンジニアがどのような仕事なのか、また、仕事の魅力ややりがいについてお聞きしました。
システムエンジニアってどんな仕事?
システムエンジニアと聞くと「難しそうな仕事をしている人」というイメージですが、実際にはどのような仕事をするのでしょうか?
「ひと言で言うと、コンピューター等で使うことができるシステムを開発・設計する人です。みなさんがイメージしやすいのは、スマホのアプリやゲーム、ネットショッピングサイトなどを動かすシステムでしょうか。そういったものを開発・設計しています。
システムエンジニアの仕事の特徴は、手がけるジャンルが広範囲ということです。例えば、テレビやエアコンなどの家電は、リモコンを押すと動きますよね? この時、『運転』ボタンを押せば、エアコンが動くようにシステムを作るのも、システムエンジニアの仕事です。大規模なものでは、大型工作機械のシステム設計などもあります。とにかく、世の中のありとあらゆる機械を動かすために欠かせない仕事なんですよ」(喜多村さん・以下同)
システムエンジニアとプログラマーの違いとは
似たような職種としてプログラマーという職種がありますが、システムエンジニアとプログラマーは、何が違うのでしょうか?
「システムエンジニアとプログラマーでは、仕事の業務範囲が異なります。スマホのアプリを例に取って見てみましょう。基本的に、プログラマーはそのアプリのプログラミングのみを担当します。これに対して、システムエンジニアは、クライアントとの窓口になってどういうアプリを作るかを相談するところから、クライアントへの提案、アプリの形態が決まった後は、仕様書というプログラマーへの指示書を作ったりします。プログラマーは、この仕様書に基づいてプログラミングを行います。アプリができあがったら、バグがないかなどをテストし、修正点を指示します。つまり、アプリの企画段階から完成して市場に出すまでの、一連の流れに携わるのがシステムエンジニアなんです。
ただし、実際には、会社によってシステムエンジニアとプログラマーの仕事の範囲はさまざまです。システムエンジニアとプログラマーがきっちりと分けられ、システムエンジニアは一切プログラミングをしない会社もあれば、もっと柔軟に、システムエンジニアがプログラミングも担い、プログラマーが最後のテストまで行う会社もあります」
システムエンジニアの魅力・やりがいって?
システムエンジニアは給与が高い、というイメージがあります。でも、多くのシステムエンジニアは、それだけでこの職種を目指すわけではないようです。
「確かに一般的な職種のなかでは、年収が高い方だと思います。私は大学院を出て大手総合電機系企業に就職しIT部門に配属されたのですが、スキルを持つ専門職として、他部署に配属された同期の1.2〜1.3倍程度の給与をいただいていました。
でも、この仕事の魅力は正直そこではないんです。私は工作機械に組み込むシステムから、カーナビ、ゲームなど、さまざまなシステム作りに携わってきました。近い将来にはスマホのアプリも開発したいと思っています。このように、1人の人間が、社会に役立つさまざまな分野の『商品』を生み出せる職種は、そうはないと思うんです。
しかも、自分の作ったものが、自分の意図したように動いてくれる。それを、クライアントだけでなく、世の中のたくさんの人が喜んでくれる。毎日使ってくれる。こんなにやりがいのある仕事はほかにはないと思っています」
意外かもしれませんが、システムも1つの「もの」なので、もの作りの楽しさや達成感が味わえるなど、製造業の技術者や職人さんとも共通点がたくさんあるのです。一方で、ウデではなく頭を使う仕事ならではの楽しさもあるようです。
「システムエンジニアの作業って、パズルに似ているんですよ。条件に合わせ、頭をひねって、ああでもないこうでもないとさまざまなピースを埋め込んでいく。だから、最後に全部のピースがカチッとはまった時には、ものすごい爽快感があります。パズルが好きな方ならわかると思いますが、あの気持ちよさはクセになりますね。
それから、よく『学校で勉強したことは社会に出てから役に立たない』なんて言いますが、システムエンジニアは違います。学校で習った算数や数学を、そのまま仕事に活かすことができます。IT分野の進歩は日進月歩なので、システムエンジニアは新しい技術を習得するために日々勉強を重ねることが大事ですが、学生時代に一生懸命勉強したことも決して無駄にならないし、勉強が苦にならない人にはぴったりの職業なんですよ」
そのほか、技術と経験さえあればどこの業界でも企業でも活躍できるので、転職しやすく、独立してフリーランスになってもまず仕事に困らない、というメリットもあります。