23.03.10 24.03.17 更新

システムエンジニアになるには?仕事やなり方を解説

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システムエンジニアになるには? 仕事内容や年収、なり方、向いている人などを解説

近年、金融や流通、メーカー、製造業などあらゆる業界でひっぱりだこの人気職種といえば、システムエンジニア(SE)ではないでしょうか。圧倒的に数が足りていないので、まず就職には困らないという魅力的な仕事です。でも、システムエンジニアがどのような仕事をしているのか、システムエンジニアになるためにはどうすればいいのか、よくわからないという人も多いはずです。そこで、バンタンテックフォードアカデミーの講師であり、現役システムエンジニアの喜多村翔斗さんにインタビューを実施しました。

システムエンジニアとは

まず、システムエンジニアがどのような仕事なのか、また、仕事の魅力ややりがいについてお聞きしました。

システムエンジニアってどんな仕事?

システムエンジニアと聞くと「難しそうな仕事をしている人」というイメージですが、実際にはどのような仕事をするのでしょうか?

「ひと言で言うと、コンピューター等で使うことができるシステムを開発・設計する人です。みなさんがイメージしやすいのは、スマホのアプリやゲーム、ネットショッピングサイトなどを動かすシステムでしょうか。そういったものを開発・設計しています。

システムエンジニアの仕事の特徴は、手がけるジャンルが広範囲ということです。例えば、テレビやエアコンなどの家電は、リモコンを押すと動きますよね? この時、『運転』ボタンを押せば、エアコンが動くようにシステムを作るのも、システムエンジニアの仕事です。大規模なものでは、大型工作機械のシステム設計などもあります。とにかく、世の中のありとあらゆる機械を動かすために欠かせない仕事なんですよ」(喜多村さん・以下同)

システムエンジニアとプログラマーの違いとは

似たような職種としてプログラマーという職種がありますが、システムエンジニアとプログラマーは、何が違うのでしょうか?

「システムエンジニアとプログラマーでは、仕事の業務範囲が異なります。スマホのアプリを例に取って見てみましょう。基本的に、プログラマーはそのアプリのプログラミングのみを担当します。これに対して、システムエンジニアは、クライアントとの窓口になってどういうアプリを作るかを相談するところから、クライアントへの提案、アプリの形態が決まった後は、仕様書というプログラマーへの指示書を作ったりします。プログラマーは、この仕様書に基づいてプログラミングを行います。アプリができあがったら、バグがないかなどをテストし、修正点を指示します。つまり、アプリの企画段階から完成して市場に出すまでの、一連の流れに携わるのがシステムエンジニアなんです。

ただし、実際には、会社によってシステムエンジニアとプログラマーの仕事の範囲はさまざまです。システムエンジニアとプログラマーがきっちりと分けられ、システムエンジニアは一切プログラミングをしない会社もあれば、もっと柔軟に、システムエンジニアがプログラミングも担い、プログラマーが最後のテストまで行う会社もあります」

システムエンジニアの魅力・やりがいって?

システムエンジニアは給与が高い、というイメージがあります。でも、多くのシステムエンジニアは、それだけでこの職種を目指すわけではないようです。

「確かに一般的な職種のなかでは、年収が高い方だと思います。私は大学院を出て大手総合電機系企業に就職しIT部門に配属されたのですが、スキルを持つ専門職として、他部署に配属された同期の1.2〜1.3倍程度の給与をいただいていました。

でも、この仕事の魅力は正直そこではないんです。私は工作機械に組み込むシステムから、カーナビ、ゲームなど、さまざまなシステム作りに携わってきました。近い将来にはスマホのアプリも開発したいと思っています。このように、1人の人間が、社会に役立つさまざまな分野の『商品』を生み出せる職種は、そうはないと思うんです。

しかも、自分の作ったものが、自分の意図したように動いてくれる。それを、クライアントだけでなく、世の中のたくさんの人が喜んでくれる。毎日使ってくれる。こんなにやりがいのある仕事はほかにはないと思っています」

意外かもしれませんが、システムも1つの「もの」なので、もの作りの楽しさや達成感が味わえるなど、製造業の技術者や職人さんとも共通点がたくさんあるのです。一方で、ウデではなく頭を使う仕事ならではの楽しさもあるようです。

「システムエンジニアの作業って、パズルに似ているんですよ。条件に合わせ、頭をひねって、ああでもないこうでもないとさまざまなピースを埋め込んでいく。だから、最後に全部のピースがカチッとはまった時には、ものすごい爽快感があります。パズルが好きな方ならわかると思いますが、あの気持ちよさはクセになりますね。

それから、よく『学校で勉強したことは社会に出てから役に立たない』なんて言いますが、システムエンジニアは違います。学校で習った算数や数学を、そのまま仕事に活かすことができます。IT分野の進歩は日進月歩なので、システムエンジニアは新しい技術を習得するために日々勉強を重ねることが大事ですが、学生時代に一生懸命勉強したことも決して無駄にならないし、勉強が苦にならない人にはぴったりの職業なんですよ」

そのほか、技術と経験さえあればどこの業界でも企業でも活躍できるので、転職しやすく、独立してフリーランスになってもまず仕事に困らない、というメリットもあります。

システムエンジニアになる方法

システムエンジニアになるには、いくつかのルートがあります。それぞれの方法や特徴を見ていきましょう。

理系の学部がある大学を卒業する

「ある程度成績に自信があれば、大学の理系学部に進むことをおすすめします。情報系の学部学科であれば一番いいのですが、今はシステムエンジニアという人材が足りていない状況なので、理系学部であれば、機械系や電子系はもちろん、科学系、生物系でもいいでしょう。収入面を考えるなら、大学院までいく方がメリットは大きいですよ。学部卒と比べて、初任給から給与が高い傾向があります」

先ほども触れていましたが、喜多村さん自身も、工学系大学の情報工学科で大学院まで進み、新卒で大手総合電機系企業にシステムエンジニアとして採用されています。

「実は文系学部でもいいんですよ。特に大手企業は学部よりも学歴を見るので、偏差値の高い有名大学の文系学部を出ていれば、ポテンシャルがあると判断され、新卒でシステムエンジニアとして採用される場合は決して少なくありません。

ただし、ITについて何も勉強していません、という状態では難しいでしょう。面接やエントリーシートで、『経済学部ですが、自分で半年間スクールに通ってプログラミングを学びました』『~という資格を持っています』などと、努力している姿勢を見せたり、スキルを持っていることを証明したりする必要があります」

IT系の専門学校を卒業する

すぐに仕事で役立つスキルを学びたいなら、専門学校に通う方法もあります。大学は卒業するまでに4年かかりますが、専門学校は2年程度で卒業できるので、短期間で集中して学び、早く実践の場に出られる点がメリットです。

「専門学校は、システムエンジニアに役立つ幅広いスキルを習得できます。プログラミングやシステム開発の実践的なスキルを学んでいれば、即戦力を求めるIT企業への就職も有利になるでしょう。すぐにシステムエンジニアとして採用される可能性は高いと思います」

プログラマーからキャリアアップする

一部の企業では、システムエンジニアがプログラマーの上位職として扱われることがあります。プログラマーの業務に欠かせない仕様書などを、システムエンジニアが作成するためです。このような会社では、プログラマーとしての経験を積む中で、一緒に仕事をするシステムエンジニアからシステム開発のノウハウを学び、やがてはシステムエンジニアへとキャリアアップする、という方法を取ることもできます。

「ただ、近年では、プログラマーからシステムエンジニアになるよりも、最初からシステムエンジニアとして採用されることの方が一般的です。この傾向は、大学の文系学部を出ている人でも同様です。システム開発の知識がない場合も、最初はプログラミングのみを担当させ、徐々に仕事の幅を広げる、という方法で、無理なくシステムエンジニアとして独り立ちさせてくれます」

独学でスキルを身につける

時間も場所も縛られないし、費用も安く済むので、独学でシステムエンジニアのスキルを身に着けよう、と考える人もいるかもしれません。しかし、システムエンジニアは幅広い業務を担い、多くのスキルを必要とするので、独学でのスキル習得はかなり困難です。1人では何をどう学んでよいのかわからず、かなりの時間を必要とするため、よほど意志が強くないと途中で挫折する可能性が高くなります。

「スクールなどに一切通わず独学で学びましたという人は、自己流の方法を使うことも少なくないので、スキルが判定しづらく、就職では不利になりがちです。エントリーシートや面接で、こういう資格を取った、こういう技術を学んだ、こんなアプリを自分で作った、という実績をしっかりアピールできないと難しくなります」

注意してほしいのが、ゲーム開発に関わるシステムエンジニアと、それ以外のシステムエンジニアは、職種として分かれているという点です。

「ゲーム開発の作業工程は独特なので、基本的にはゲームエンジニアは独立した存在です。自分がどちらを目指したいのか、学ぶ前にはっきりさせておく方がいいでしょう」

システムエンジニアに求められる適性やスキルは?

システムエンジニアに向いているのは、どのような人なのでしょうか。また、システムエンジニアになるために身に着けなければいけないスキルや、取っておいた方がいい資格についても紹介します。

筋道を立てて物事を考えられる「論理的思考能力

論理的思考能力とは、物事を筋道立てて矛盾なく考えられる能力のことです。システムは、プログラムに1文字でもミスがあれば正常に作動しなくなります。このため、システムエンジニアには、どうしてこのミスが起きたのか、どこをどう修正すれば正しく動くのか、筋道を立てて考えられる能力が必要になるのです。

論理的思考能力にそれほど自信がない人でも大丈夫です。何度もプログラミングの経験を重ねるうちに、自然に身に着く能力でもあるからです」

問題に柔軟に対応できる「問題解決能力」

前述のようなミスが出た時、それを解決できる能力も重要です。

「システムの構築にエラーはつきものであり、システム開発はエラーとの戦いです。当たり前のように何度もミスが出る訳ですが、この時、すぐに落ち込んだり諦めたりするようでは、いつまでたっても完成にたどり着けません。状況に応じて、別の方法がないか試行錯誤したり、ネットで情報を集めたり、時にはチーム以外の人に助けを求めたり、最初に決めた路線を変更したりと、物事に柔軟に対応する能力があるシステムエンジニアは、高い評価を受けます。

反対に、自分だけの考えに凝り固まり、他人の意見を聞けないと、システムエンジニアとして成功するのは難しいでしょう。

このほか、パソコンが好きな人、機械が好きな人、パズルが好きな人、集中して物事に取り組める人も、システムエンジニアに向いていると思います」

「プログラミングの基礎知識」はシステムエンジニアに必須

自らはプログラミングをしないシステムエンジニアもいますが、プログラミング知識が全くなくてもよいわけではありません。

「プログラミングの知識がなくては、プログラムによって作られているシステムの設計を行うことはできません。プログラマーに適切な指示を出すこともできないし、できあがったプログラムをチェックすることもできません。代表的ないくつかのプログラム言語などは学んでおきましょう」

プロジェクトを円滑に進める「コミュニケーションスキル

そもそも、システムエンジニアは、クライアントやチームメイトとのやり取りを円滑に進めることができなければ勤まらない職種です。クライアントと綿密な打ち合わせをして、相手の要望を正確に聞き取り、自分やチームの考えをきちんとまとめて伝える、といった営業的な作業も少なくありません。

「入社時にはコミュニケーション能力はさほど求められないかもしれませんが、実際にはシステムエンジニアが仕事を進めるうえで欠かせない能力です。特にキャリアアップし、プロジェクトのリーダーとして、ほかのシステムエンジニアや多くのプログラマーに指示を出す立場になった場合には必須となります」

また、プログラマーに仕様や設計の内容を伝えたり、トラブルに対応したりと、社内でのやり取りも日々発生します。相手を不快にさせず、スムーズに意思疎通を図るためのコミュニケーションスキルも高めておく必要があるのでしょうか?

「そこまで難しいことではないですよ。学校生活というのはコミュニケーションの連続です。グループワークや部活動など、ほかの生徒とコミュニケーションする機会はたくさんあります。ですから、ひとりの殻に閉じこもったり、趣味の世界に没頭したりするだけではなく、積極的に人と触れあうこと、話すこと、関わりを持つことを大事にしていれば、自然にコミュニケーション能力は磨かれます」

キャリアアップするほど重要になる「マネジメントスキル」

マネジメントスキルとは、予算、納期までの時間、進捗状況、システムの品質などを、適切に把握し、管理する能力のことです。これもまた、キャリアアップして立場が上になるほど必要になってくる能力です。システム開発はプログラマーとチームで行いますが、作業の進捗管理や品質管理はシステムエンジニアの仕事です。スケジュール通りに進行、納品できなければ、クライアントに大きな迷惑をかけ、信用を失うことにもなりかねません。

「こちらもまた、学校生活を通じて養うことができます。例えば、委員会の委員長、部活の部長、体育祭実行委員などに立候補するなどして、人をまとめ、組織を運営する経験を積んでみましょう」

資格は絶対に必要なものではないがあると有利

システムエンジニアになるために、資格は必ずしも必要なものではありません。しかし、資格取得のための勉強をすれば、自然にシステムエンジニアに必要な知識やスキルが身に着く、というメリットがあります。

「私は理系学部の人にも資格取得を推奨していますが、とくに文系学部からシステムエンジニアを目指す人は、必ず取得してほしいですね。それがスキルの証明になります」

資格試験には、『基本情報技術者試験』、『応用情報技術者試験』などがあります。未経験者なら、まずは基本情報技術者試験にチャレンジしてみましょう。これは、情報処理推進機構(IPA)が運営する国家試験で、ITエンジニアに必要な基本知識を学べる資格として、IT関連企業で働きたい人やシステムエンジニアを目指す人が多く受験しています。IPAが発表している統計情報によると、令和4年度11月実施分の基本情報技術者試験の合格率は約35%ですが、例年は合格率40%前後です。

「より取得しやすく、最も基本的な『ITパスポート』という国家試験もありますが、こちらはシステムエンジニアを目指す人なら取れて当然の資格。これを取る必要性は高くないので、基本情報技術者試験から挑戦することをおすすめします」

システムエンジニアの将来性

システムエンジニアほど将来性の高い職種はないのではないでしょうか? その理由について、具体的に見ていきましょう。

システムエンジニアはありとあらゆる業界で活躍できる

「システムエンジニアの就職先というと、IT企業をイメ-ジするかもしれませんが、近年はそれだけにとどまりません。なぜなら、今やコンピューターシステムと無縁の会社などはないためです。大手メーカー、金融、医療、流通、ゲーム制作会社、自治体、アミューズメント業界、小売業など、ありとあらゆる企業が、社内・社外のシステムエンジニアを必要としています。それなのにシステムエンジニアの絶対数はまだまだ少ないので、売り手市場の状況です。

システムエンジニアの勉強をしておけば、まず就職先には困りません。前述したように、未経験でも、大学の文系学部を出ていても、採用されるのです。この傾向は当分変わることはないので、将来性は非常に高いとみていいでしょう」

年収・給料は一般的な会社員より高水準

システムエンジニアの年収は、会社に所属するかフリーで活動するか、また、年齢によっても違ってきます。

「20~60代のあらゆる働き方の人を含めると、年収500万円前後だと思います。一般的な会社員よりは1~2割程度高い、という印象ですね」

喜多村さんは現在、フリーのシステムエンジニアとして活躍されています。フリーの年収は、会社に所属するシステムエンジニアよりも高いのでしょうか。

「フリーの場合、年収は平均600~700万円程度なので、会社員より若干高いかもしれません。ただ、大手メーカーの会社員の場合、昇進すれば年収は大幅アップしますから、一概にフリーのほうが有利、とは言えません。一方で、IT企業は大企業に比べ、昇進による年収アップの幅は小さいようです」

システムエンジニアの仕事環境

気になるのは、システムエンジニアの仕事の環境です。残業が多く激務、というイメージもあります。

「それはひと昔前の話ですね。かつては毎日終電や徹夜などという話も聞きましたが、今は働き方改革でそんな会社はほぼなくなりました。もちろん残業はありますが、忙しい時期でなければ、1か月の残業時間はだいたい15~20時間程度です。月に何度も終電で帰る、なんていうのも一部の会社だけです。ただ、納期が近くなるとどうしても休日出勤などが発生するので、残業時間が月40~60時間くらいいくこともありますね」

また、かつては時間や場所に縛られない多様な働き方が、IT企業ならではの「特権」と見られていました。しかし、現在は多くの会社がフレックスタイム制や在宅勤務を取り入れていますので、業種による勤務形態の差も少なくなってきているようです。

おもしろいと思えるものを見付けて、システムエンジニアを目指そう

「スキルさえあれば、さまざまな業界で活躍できるのがシステムエンジニアです。スキルを身に着けるには、『頑張る』ことよりも『おもしろい』と思える気持ちが大切です。私自身子どものころは、パソコンはおもちゃの一種であり、『楽しいから』パソコンで遊んでいました。それが高じて、小学5年生の時に独学でゲームを作り、そのゲームを友達がおもしろいと喜んでくれたことが、システムエンジニアを目指すことになった原点です。

だから、システムエンジニアを目指す学生のみなさんには、ぜひアンテナを広げ、自分がおもしろいと思うものを見付けて、それをプログラミングと結びつけてほしい。自分がおもしろいな、こんなのあったらいいな、と思うアプリを、簡単なものでいいから試しに1つ作ってみてください。そうすれば、頑張らなくても自然とプログラミングのスキルが身に着きますよ」

現在はオンラインで学べる専門スクールや、動画などの教材も数多く存在します。喜多村さんがお話されたように、まずは自分がおもしろいと思えるものを見付けて、それに関係するもの作りにチャレンジしてみるといいかもしれませんね。

【監修者プロフィール】

喜多村翔斗さん
名古屋工業大学工学部情報工学科大学院を卒業後、大手総合電機系企業に入社。
ソフトウェア開発や、大手工作機械メーカーでの工作機械の組み込みシステム開発などを経て、独立。
現在はフリーランスで活動する傍ら、バンタンテックフォードアカデミーの講師としても活躍。

♦この職業を目指すなら

バンタンテックフォードアカデミー(IT・プログラミングの専門校)

 

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